象でも見てる? インド映画 初級編
アルカカット
 前回は「インド映画入門編」と題し、インド映画を全く見たことがない人を念頭に置いて、インドの映画館でインド映画を初めて見るまでの後押しを試みてみました。無事にインド映画を見ることができたでしょうか?ただ、残念ながら、インド映画界に駄作が蔓延していることは紛れもない事実で、不幸にして初めて見たインド映画がどうしようもない駄作だと、「インド映画はもういいや」となってしまうでしょう。今のところ日本人にとってインド映画は、作品というよりも、「日本への土産話に1本くらいは見ておこうか」程度の存在に過ぎないかもしれません。しかし、インド映画は、多様なインドを反映するかのように、多様な角度から多様な楽しみ方ができる映画でもあります。今回、初級編では、インド映画初体験を済まし、「インド映画を見ることはできたけど、どう楽しんでいいのか分からない」という「ごく普通の人」を念頭において、初心者が最も入りやすい「俳優で楽しむインド映画」をご紹介します。

 最近はヒンディー語のTVドラマも台頭して来ましたが、依然としてインド映画の「娯楽の王様」としての地位は揺らいでいません。毎週新しい映画が公開され、新聞に映画の話題が載らない日はなく、多くのインド人たちの息抜きとなっています。インド人たちが映画でまず気にするのは、「どのスターが出ているか」という点です。有名スターが多く出演している映画は、自然と観客を引き寄せます。インド映画は今でもスターシステムを採っており、スターを前面に押し出した映画がほとんどです。よって、インド映画を楽しもうと思ったら、まずはスター中心のミーハーな鑑賞姿勢が必要となります。インド映画にはまるための最初のステップは、「好きなスターを作る」ことです。

 そこで、今回は現在活躍中の旬なボリウッド俳優を簡単に紹介したいと思います。と言っても、全員を紹介していたら切りがないので、「この俳優が出ている映画は要チェック!」という男優・女優をそれぞれ5人ピックアップし、それに加えて現在最もホットな若手俳優を男女1人ずつ厳選してみました。

■男優編
シャールク・カーン Shahrukh Khan

 1965年11月2日生まれ。押しも押されぬ現代のキング・オブ・ボリウッド。1990年代のボリウッド界を代表する男優だったが、2000年代も引き続き活躍し続けている。彼の出演する映画は家族で安心して見られる優良な娯楽作と考えていい。ただ、彼が設立したプロダクション、ドリーム・アンリミテッド社による映画がこれまで興行的にそれほど成功していないことから資金難となっており、最近は狂ったようにTVCMや映画に出演している。「Kal Ho Naa Ho」「Main Hoon Na」「Veer-Zara」などが最近の代表作。


リティク・ローシャン Hrithik Roshan

 1974年1月10日生まれ。映画監督ラーケーシュ・ローシャンの息子。2000年に「Kaho Na… Pyaar Hai」でデビュー。圧倒的なダンスの巧さ、見事な肉体、そして甘いマスクにより、一気にトップスターの仲間入りを果たした。演技の幅も広がって来ており、今一番勢いのある男優。インド初のSF映画「Koi… Mil Gaya」に主演したことにより、小さい子供にも非常に人気がある。右手の親指が2本あるのは公然の秘密。


サルマーン・カーン Salman Khan

 1965年12月27日生まれ。脚本家サリーム・カーンの息子。端正な顔立ちをしたハンサム&マッチョ男優だが、アイシュワリヤー・ラーイと破局し、奇行やスキャンダルが目立つようになった。しかしながら人気は根強いものがあり、彼の出演作は作品の良し悪しに関わらず、地方の若者の圧倒的支持を受ける傾向にある。無意味に上半身裸になって筋肉を見せびらかす癖がある。「Tere Naam」という映画が異常なヒットを記録した。


アーミル・カーン Aamir Khan

 1965年3月14日生まれ。プロデューサーのタヒール・フサインの息子。一度に一本の映画にしか取り組まない完璧主義男優として多大な人気を誇っている。よって、彼の出演する映画は数年に1度くらいしか公開されないが、それだけに質の高い作品が期待される。彼主演の「Lagaan」は21世紀のインド映画の金字塔と言っていい。現在、セポイの大反乱をテーマにした歴史映画「The Rising」を製作中。


アミターブ・バッチャン Amitabh Bachchan

 1942年10月11日生まれ。伝説的名作「Sholay」の大ヒットにより人気爆発した1975年から2005年現在まで、30年に渡ってボリウッドで無敵の人気を誇り続ける大俳優。長身、白髪混じりの髭、渋い声の男優と言えば、インドに住んだことのある日本人なら誰でも彼の顔を思い浮かべることができるだろう。60歳を過ぎた今でも多くの出演作を抱えており、彼が出る映画が必ずしも良作とは言えないが、チェックする価値はある。「Baghban」では高い演技力を見せた。息子のアビシェーク・バッチャンも映画界で活躍中。


★オススメ若手男優
ジョン・アブラハム John Abraham

 1972年12月17日生まれ。元トップモデル。2003年に「Jism」でデビューして以来、急ピッチで人気を獲得してきた注目の男優。インド人離れした変わった顔をしており、「怒れる若者」というワンパターンな役柄が多いが、これからトップスターの仲間入りする可能性は大きい。2004年は「Dhoom」が大ヒット。



■女優編
アイシュワリヤー・ラーイ Aishwarya Rai

 1973年11月1日生まれ。言わずと知れたインドの女神。1994年のミス・ワールドで、映画界デビューは1997年。彼女の完璧なまでの美貌に文句を付ける人はいなかったものの、演技やダンスには当初批判が多かった。だが、次第に大女優としての風格を身に付けて来ており、現在ではハリウッド進出も果たした。最近の映画では「Devdas」が彼女の美貌を最大限に引き出しており、「Raincoat」が彼女の演技力を最大限に引き出している作品だと言える。


カリーナー・カプール Kareena Kapoor

 1980年9月21日生まれ。インド映画の創成期より数々の名優・名監督を輩出してきたカプール家に生まれ、その運命に従って2000年に映画デビューをした女優。90年代に活躍したカリシュマー・カプールは彼女の姉。イケイケな女の子を演じさせたら右に出るものはないが、映画カースト出身だけあり、シリアスな役も難なくこなすだけの演技力を備えていることが最近明らかになってきた。「Chameli」の演技が今のところベスト。


プリーティ・ズィンター Preiti Zinta

 1974年1月31日生まれ。日本でも公開された「ディル・セ」でデビュー。色白の肌とふっくらした肉感が健康的でいいが、エクボが何よりのチャームポイント。2003年は彼女が主演した映画「Koi… Mil Gaya」と「Kal Ho Naa Ho」がニ大ヒット作となり、一気にトップスターの階段を上り詰めた。2004年は「Veer-Zaara」が印象的。最近許容範囲を超えるほど太ってきたことが懸念される。


ラーニー・ムカルジー Rani Mukherjee

 1978年3月21日生まれ。映画監督ラーム・ムカルジーの娘。浅黒い肌をしているが、ハスキーボイスと笑顔が魅力的。90年代を代表する女優カージャルの従姉妹。1998年の「Kuch Kuch Hota Hai」の大ヒットで一躍有名になった。娯楽映画に出ている女優の中ではトップクラスの演技力を誇る女優である。「Yuva」「Veer-Zaara」などが最近の彼女の名作。


ビパーシャー・バス Bipasha Basu

 1979年5月5日生まれ。元トップ・モデル。2001年に「Ajnabee」で衝撃のデビューを果たす。インド人というよりもアフリカ人に近い容姿をしているが、生粋のベンガル人。現在のボリウッドのセックス・シンボルとして絶大な人気を誇っている。彼女の出演する映画は、ただ彼女のセクシーさを売りにしただけの内容のない映画が多いのが残念だが、「Rakht」では知的で落ち着いた演技をしており、潜在能力はある。


★イチオシ若手女優
プリヤンカー・チョープラー Priyanka Chopra

 1982年7月18日生まれ。2000年のミス・インディア&ミス・ワールド。鋭い目つきをしたセクシー女優。今のところ大ヒット作はないが、既にインド人の間ではトップクラスの人気を誇っている。「Aitraaz」では男にセクハラをする魔性の女役を演じた。



 以上、私見も含めた注目の俳優たちの紹介でした。もちろん、ボリウッドにはまだまだ多くの個性的な俳優がいますし、毎年のように新しいスターも誕生しています。スターの楽しみ方と言ったら、とにかくスクリーンに向かって反応すること。場末の映画館で人気映画を見ると、ヒーローの登場シーンで大喝采、ヒロインのセクシーなダンスで大興奮、悪役の最期に大歓声が沸き起こる様を体験することができます。まさにその心意気でインド映画を見ると、これほど楽しいものはありません。「これこそ映画だ!」この感動を現在の日本の映画館で味わうことができるでしょうか?

また、ここでは主役を演じる俳優を紹介しましたが、純粋に演技力で言うならば、主役を演じるヒーローやヒロインよりも、悪役俳優やコメディー俳優などの脇役の方が優れていることが多いと思います。「俳優から始める正しいインド映画のはまり方」は、まずはハンサムなヒーロー、美しいヒロインから顔見知りを作っていき、次第に個性豊かな脇役俳優たちの魅力を理解するところまで到達する、としておくのがいいかもしれません。

■裏技編 以下のサイトには日本語でボリウッド俳優の紹介がしてあります。ご参考に。
ナマステ!ボリウッド!!http://www.h2.dion.ne.jp/~namaste/
■付録 デリーの高級映画館MAP

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