| 第6回 JETRO NEW DELHI CENTER |
このコーナーでは日系企業、団体の職場を訪問して活動内容を紹介しています。
今回は JETRO NEW DELHI CENTER 宮原所長にインタビューしました。
Q.ジェトロ(JETRO)の活動内容について説明して下さい。
A.正式名称は、独立行政法人日本貿易振興機構 ニューデリー・センターです。ニューデリーには日本人駐在員は3名、ムンバイ、バンガロールにも事務所があります。
ジェトロは元々日本の輸出振興機関として、特に中小企業の海外でのビジネス拡大支援を目的に昭和30年代はじめに設立されました。現在は国の総合的な貿易振興機関として、輸出入、内外投資促進など様々なビジネス交流促進のために、調査・情報収集、ビジネス情報提供、貿易投資相談、展示会・国際見本市参加等の業務を実施しています。
Q.インドにおける活動の中から一つご紹介下さい。
A.インドでの最近の例としては、ITソフトウエア企業の日本市場でのビジネス拠点設置のお手伝いなどをしています。インドIT関連企業は日本に70社程度進出しているのではないかと言われています。インド人の優秀な頭脳を活用するという観点から、今後はバイオインフォマティクス(バイオとITソフトに関連)も有望分野ではないかと考え、両国の企業や研究者の交流促進のために日本とインドの双方で開催されるバイオの見本市・商談会でビジネス交流の場を作ってきました。
面白いのは、日本の研究者がインドの研究レベルや技術力が思っていたより高いと感嘆の声を上げられることですが、同じように日本を訪問したインドの研究者が日本の研究内容を見て「日本はこんなに進んでいたのか」と驚いている様子です。欧米の研究者との交流が盛んなインドは世界の最先端の研究に通じた人が多いのですが、日本とインドは今まではお互いに無関心でした。今後はインド特許法改正や日印租税条約の改正などが進むとともにバイオも研究交流からビジネス交流に発展して行くのではないかと期待されます。
Q.ジェトロの業務内容も時代とともに変わってきたわけですね。
A.ジェトロは、日本の貿易促進のために世界の自由貿易促進に貢献することを目指してきましたが、業務内容は時代とともに変遷してきました。日本の輸出振興の時代は、日本商品を輸出するためにどの国にどういうものが売れるか、どうすれば売れるのか企業の皆さんとともに市場調査をし、海外見本市への出展や商談会のお手伝いをしてきました。
1980年代には日本は貿易黒字が急激に拡大し、諸外国から強く非難されるようになりました。世界貿易の健全な発展のために日本はもっと経済を自由化し、内需拡大・輸入拡大をしてほしいという声が高まり、ジェトロは国の政策として輸入促進に取り組みました。アジアをはじめ発展途上国ではその国の貿易・産業育成支援に取組み、日本企業の海外進出を側面支援し、世界の歴史にあまり例のないことですが、米国やヨーロッパなどの先進国においてさえ日本への売込みのお手伝いをしました。いずれにしても、日本市場は閉ざされていない、世界に大きく窓を開けた自由な国ですと訴え続けてきたわけです。
Q.インドでのエピソードがあればお願いします。
A.日本へ商品輸出の研究を始めた時の話ですから、まだ10年ちょっと前のことです。衣料やハンディクラフトなどの対日輸出可能性の高い商品を選定している過程で分かったのは、インドには商品カタログが無いか、あってもガリ版刷りの粗末な印刷物しかなかったことです。こんなことでは商品が良くても日本の輸入者や消費者に紹介できないと考え、商品開発と同時に、カタログの印刷技術向上のために日本から専門家を招きました。カラー印刷の機械設備の更新、運転技術、メンテナンス、紙の選定に到るまで指導してもらいました。その成果は思わぬところに波及しました。インドの週刊誌です。専門家をアドバイザーとしてその後も継続的に委嘱しているある出版社の雑誌や写真集のカラー印刷の質は格段に向上し、他の出版社の多くもそれに追随し、インドの週刊誌・雑誌は先進国並みの水準にあります。
Q.インドは将来の高い経済成長が注目されていますが。
A.インドの潜在的な可能性は大きいと思います。しかし、インド政府の言うような年率8%の経済成長を実現していくためには、いずれ近い将来インフラが大問題になります。発電能力、水資源確保、港湾・道路・鉄道等の輸送能力や都市交通網等は経済成長とともに整備されていかないと、成長は頭打ちとなってしまうでしょう。インフラは一朝一夕に整備できるものではありませんから、今からかなりのスピードで整備していくことが必要です。今のところ中国偏重の日本企業がこれからもっとインドでのビジネスを盛んにしようというのは当然の流れと思いますが、日本企業も含めた外国企業を誘致するためには、インド政府が為すべきことは山ほどあると思います。
外国商品がどんどん日本に輸入され、日本企業も外国で作って日本に輸出するし、世界中のバラエティに富んだ商品が日本で手に入るようになりました。豊かな消費生活を楽しむことが出来るようになりました。それはそれでいいことですが、振り返ってみますと多くの仕事が海外に出てきてしまいました。そのため、最近は外国企業の日本への誘致が重要になっています。インド企業も日本に進出しています。特にITソフトウエア企業がもっと日本に進出し、また日本企業のインドでのビジネスも活発になるなど、経済交流や人的交流が進めば、例えば日本食輸出もインドに入ってくると思います。これからインドの駐在員生活も変わっていくのではないでしょうか。
本日はお忙しいなか、ご協力有難うございました。
>> BACK <<